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小林研一郎指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 (2018/1/27)

このバイオリン奏者を聴くのは5年ぶりぐらいだろうか。

冒頭の静かな旋律は、舞台前面に体を乗り出すようにして、静かに、しかし、楽器を完全に鳴らし切って客席に届ける。

木管奏者とアイコンタクトを取るために体を捻って楽器の向きが変わっても、音色が変わったり、響きが減衰することはない。
アルペジオを弾く時に、個々の音がくっきりと聴こえる。
これが、この時間の中で、この演奏家が培ってきた技術なのだろう。
高いものを目差して研鑽を続けてきた演奏家であることがわかる。

初めて演奏を聴いた時には、たくさんの引き出しを次々に開けて、中の服を惜しげもなくばら撒くような演奏スタイルだと思ったが、今は、個々の引き出しには厳選した服が入っていて、曲のどの部分でどの引き出しを使うか、を曲の持つ音楽性と自分の音楽性との組み合わせの中で見極め、明確に聴衆に提示してゆくスタイルに変わっている。

聴いていて納得感の高いシベリウス演奏である。

独奏を支える管弦楽は、この指揮者の演奏を聴いていると稀に遭遇する、オーケストラが完全に手中に入った時に出現する、オーケストラが1つの楽器になり切った演奏になっていて、独奏からも管弦楽からも、北欧のイメージが湧き上がる響きが生まれている。

これが、二楽章、三楽章と進むと、「お帰りスムちゃん」と言いたくなる、昔ながらの激しい演奏が姿を見せてきて、これはこれで楽しい。

改装後のホールの響きの良さも、この演奏を楽しめた欠かせない要因だった。

休憩の後のブルックナーはどうかな、と思っていたが、これはブルックナーである。

指揮者の個性が音楽をデフォルメすることなく、この作曲家の深遠な響きを静かに楽しめる。
休日の午後に、この品質のブルックナーを楽しめるのは有難い。
やはり指揮者は長生きしなければ。

日本フィルハーモニー交響楽団第697回定期演奏会
2018年1月27日(土)14時 サントリーホール
小林研一郎指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
日本フィルハーモニー交響楽団
シベリウス  ヴァイオリン協奏曲(独奏 アレクサンドラ・スム)
ブルックナー 交響曲第7番

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