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2017年8月

三井静 @ソフィアザール (2017/8/21)

注目しているバイオリン奏者が、駒込の住宅街にあるこのサロンホールで演奏会をやるというので、どれどれとホームページを覗いてみると、その次のコンサートの演奏者に、先日もすっかり魅せられたピアノ奏者の名前が、目に飛び込んできた。

このピアノ奏者の特質が最も出ていたのは、1曲目のフレスコバルディで、冒頭から硬質な和音を響かせる。
この響きを聴けば、弦楽奏者は、和音からインスピレーションを受けて演奏を始められることであろう。

2曲目の無伴奏は、冒頭から、あ、今日はバッハが聴ける日だ、と嬉しくさせてくれる演奏。

3曲目はピアノソロである。
正直なところ、リストについては、このリスト弾きなら、とか、いろいろ聴いてみたが、作曲ものにしろ編曲ものにしろ、どうも魅力を感じない。
ところが、この演奏では、終盤の、明らかにリストのピアノ演奏技巧が凝らされている、と感じられる部分から、はっとするような演奏効果が生じて、なるほど、こんなインパクトを受けたら、当時のご婦人なら失神するかも、という感覚が持てた。
これは大きな収穫。

4曲目もシューマンで、後半は、その協奏曲。
よほどシューマンの音楽への共感が強いのだろう。

シューマンと言えば、バイオリン協奏曲の弾き難さは有名で、ところが、同じ弦楽器でもチェロ協奏曲は弾き易い、ということはまず考えられないのに、音楽性に満ちた、甘さと深さを併せ持つ演奏である。

このチェロ奏者は、アンコールで、チェロの超絶技巧を披露し、聴衆を驚嘆させたが、そこまで技術を高めているからこそ、聴衆には演奏上の困難を全く感じさせず、作曲家の豊かな音楽のイマジネーションが伝わる音楽を表現できるのであろう。

終盤近くで、チェロ奏者が、一瞬イマジネーションを失いかけたが、ピアノ奏者は、全くあわてることなく、何事も無かったように、1つ前の和音を示し、チェロ奏者はイマジネーションを取り戻していた。

ピアノ奏者の支え方もプロであるが、その後の演奏も、全く動揺を感じさせず、音楽の魅力を表現し続けるチェロ奏者の力量にも驚かされた。

後になって、このチェロ奏者が、コンクールの本選に残り、この曲を演奏することを知った。
あの実力があれば、と納得した。

2017年8月21日(月)19時 東京・駒込 ソフィアザールサロン
三井静 チェロリサイタル
ピアノ  須関裕子
フレスコバルディー    (カサド編曲)トッカータ
バッハ            無伴奏組曲 第4番より
シューマン          献呈(リスト編曲)
シューマン          幻想小曲集
シューマン              チェロ協奏曲

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