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橋森ゆう希、鍵富弦太郎、河野紘子 (2017/7/10)

白寿ホール、ではなく、同じ建物の1階ロビーでの30分コンサートである。
一度聴いてみたいと思っていたバイオリン奏者が出演するので、足を運んでみる。

6時開演と7時開演とがあるので、同じプログラムが演奏されるのかと思ったら、パンフレットを見ると演奏曲目が違う。
開演前の主催者の挨拶によると、入替え制ではなく、連続して聴いても良いらしい。

今回は、バイオリン2本とピアノ、という珍しい趣向である。

ピアノの序奏を聴いた瞬間に、これは充実したリハーサルが出来ているな、と感じる。

そして始まった2本のバイオリンが繰り出す音楽表現は、バイオリン1本の時とは比べ物にならないほど豊かである。

2本だと、1本の時ほどには、バイオリンの魅力は堪能出来ないかも、と思っていたのだが、音楽的に豊かなだけでなく、バイオリンならではの魅力もふんだんに伝わって来る。

素直に楽しめる音楽である。
この作曲家の大作にあるような、政治性も思想性も難解さもない。
ドリンク付きコンサートなので、つい飲んでしまったワインの酔い心地が一段の良い気分にさせてくれる。

演奏後の演奏者の解説によれば、これは友人による編曲らしいが、ロシア人が持つ素朴な心根が感じられて、おそらく作曲家本人の地の心情はこうだったに違いない、と確信できるものがあった。
それを知っていた友人が、それが素直に表れるように編曲したのだと感じられた。

こんな作風で一生を過ごせれば、作曲家個人としては幸せな人生だったかも知れないが、帝政ロシアの圧制が、マルクス・レーニン主義の圧制へと転化した特殊な環境下での作曲を強いられなかったら、音楽史に名を残す存在になれたであろうか、というようなことにも想いを馳せた。

これだけでも、2人のバイオリン奏者の非凡さを充分に感じたが、続くサラサーテで、更に、演奏技術の高さに唸(うな)らされた。

サラサーテであるから、随所に技巧が凝らされているのだが、そんな難所に差し掛かっても、2人のアンサンブルが狂わない。
難度が上がればテンポは揺れたり遅くなったりするリスクが上がるはずだが、両者のいずれからも、そんな感じがしない。

極めつけは、左手ピチカートの二重奏で、この演奏技巧を二重奏にすると、これほどの演奏効果が挙がるのか、と感じ入った。

もしこれが音楽ホールでのコンサートだったら、ここまで楽しめなかったであろう。
このようなサロン風な場所での演奏だったらこそ、の楽しみがあったように思う。
なるほど、こんな企画もありなんだなあ、と納得させられた。

こうした空間での、ベーゼンドルファーの落ち着いた響きは、音楽の底辺を支える音として、優れた響きを持っている。
これが無かったら、こんな感想を持つ経験が出来なかったかも知れない。

Hakuju 東日本大震災チャリティロビーコンサート
2017年7月10日(月)
橋森ゆう希、鍵富弦太郎、河野紘子
①18時
ショスタコーヴィチ 2つのヴァイオリンとピアノのための5つの小品
Ⅰ.プレリュード  「馬あぶ」op.97より
Ⅱ.ガヴォット   「人間喜劇」op.37より
Ⅲ.エレジー    「人間喜劇」op.37より
Ⅳ.ワルツ     「司祭と下男バルドの物語」op.36より
Ⅴ.ポルカ     「明るい川」op.39より
サラサーテ   ナヴァラ op.33
②19時
プロコフィエフ 2つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 op.56より
Ⅰ.アンダンテ カンタービレ
Ⅱ.アレグロ
モシュコフスキ 2つのヴァイオリンとピアノのための組曲 op.71より
Ⅰ.アレグロ エネルジーコ
Ⅱ.アレグロ モデラート
Ⅳ.モルト ヴィヴァーチェ

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