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タレイアカルテット @藝大 (2017/4/19)

今晩は、藝大生と大学院生による弦楽四重奏の無料演奏会である。

前半は、バルトークと現代音楽というプログラムであるが、客席は意外な盛況。

バルトークはバルトークなので、作曲家がどんな着想を得て、こういう音楽を作ったのか、聴いていて、さっぱり分からないのだが、意外に飽きない。
チェロの演奏に躍動感があり、これが演奏全体に生気を与えていたようだ。

また、全員がまとまって弾く局面では、個々の楽器の音ではなく、全体として1つの場としての響きが鳴っており、なるほど、弦楽四重奏団としての音を持つまでにはなっているのだな、と感じた。

次の現代曲は、まとまりは良いのだが、演奏者たちが感じているであろう曲の魅力が、客席までは届いていないもどかしさがあった。

演奏が終わってみると、作曲者の西村朗氏が客席から姿を見せる。

なるほど、同じ時代を生きる作曲家の作品を演奏するということは、作曲家自身に演奏を聴いてもらえる、ということでもあるのだ、ということに気づかせられた。

このような経験は、とりわけ、若い音楽家にとっては貴重なものであろう。

これに比べると、後半のベートーベンは、手さぐり感を感じさせる局面が多かった。

なにしろ、ベートーベンでも後期の作品である。
これを、若手奏者たちで弾こうというのだから、楽譜を音にすることは出来ても、音符に共鳴し切れるところまでイメージをはぐくむことは容易ではあるまい。

そんな中で、緩徐楽章の冒頭は、ベートーベン後期特有の、この作曲家が、晩年に到達した、しみじみとした境地を示す響きが表現されていて、若者には最も難しいそうに思える部分で、逆に、こんな演奏ができるのか、と驚かされる。

この楽章は、続いて、動きのある音楽が現れ、再び静かな音楽に戻るのだが、冒頭の再現ではなく、静かな中にも動きのある音楽になっていて、四人全員で集中して1つの響きを作るわけにはいかない構成に変わる。
そうなると、なかなか冒頭のような深い響きが作れない。

おそらく、響きを構成する楽器の数が減る中で、冒頭の印象を崩さない響きを維持することを作曲家は求めているのであろうが、実際の楽器の動きを眺めていて、こういうことをしながら、冒頭同様の深遠な響きをどうしたら作れるのか、見当がつかなかった。

でも、そういうことが判ったので、この曲については、世界の一流カルテットが、この部分をどう弾くか、一度聴いてみる価値はあるな、と思えた。

タレイアカルテット トライアルコンサート
2007年4月19日(水) 東京藝術大学第6ホール
バルトーク    弦楽四重奏曲第4番
西村 朗     弦楽四重奏曲第5番 ”シェーシャ”
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番

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