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2017年1月

マーラー3番 by東京ユヴェントス・フィルハーモニー (2017/1/8)

1番とか2番ならともかく、アマチュアにマーラーの3番なんて演奏できるのかしらん、と半分疑心暗鬼になりながら、川崎駅前の雑踏を通り抜け、ホールへと向かう。

結論から言うと、第一楽章の三分の二ぐらいまでは、アマチュアとは思えない、素晴らしいマーラー演奏だった。

まず冒頭のホルンのユニゾンから、指揮者が、作品全体を俯瞰した上で、この旋律を吹かせていることが、明確に伝わって来た。

これは深いマーラー体験が出来るかも、と期待させる。

この作曲家の作品は、とにかく長くて複雑なので、聴いていても訳が分からない感覚になり勝ちなのだが、唐突に現れる場面転換の描き分けが鮮やかなので、音楽全体の構造がイメージできる感覚で、音を受け取ることができる。

ただ、この楽章は、とにかく長い。
第一楽章だけで、四十分前後を要するので、後半に入ると、描き分けの鮮明度があいまいになって来て、次第に頭が真っ白になって来る。

それでいて、楽員たちの集中力は切れていないと見え、楽章の終結は見事に決まったので、何だか、これで全曲演奏が終わったかのような感覚になった。

第四楽章のアルトの歌唱は、歌手の作品に対する理解の深さが声から伝わって来る演奏だった。

こういう演奏を聴くと、女声も、ソプラノより、アルトの方が、より深い内面性を表現できるのではあるまいか、と思えてくる。

最終楽章は、音で聴く限り、内面的な深さが描かれているらしいと思うのだが、聴き手として共感力の糸がどこかへ行ってしまったらしく、心の深いところで共鳴できなかったのは残念であったが、これまで、プロの演奏を聴いても入り込めないでいたこの作品世界に一歩踏み込めたのは、思わぬ収穫であった。

コンサートマスターに、実力者を起用しただけのことはある。

東京ユヴェントス・フィルハーモニー 第14回定期演奏会
2017年1月8日(日)18時 ミューザ川崎
坂入健司郎 指揮 東京ユヴェントス・フィルハーモニー
オルフ祝祭合唱団  (合唱指揮  谷本喜基)
中央区・プリエールジュニアコーラス (合唱指揮 古橋富士雄)
コンサートミストレス 毛利文香
ブラームス アヴェ・マリア Op.12 ―女声合唱と管弦楽のための―
ヴォルフ   妖精の歌―女声合唱と管弦楽のための―
マーラー   交響曲第3番 ニ短調  (アルト 谷地畝晶子)

「第九と四季」 (2016/12/28)

本日の「四季」の独奏者は、高校生で海外コンクールでの入賞を果たして間もない頃に一度聴いたことがある。
あの時点で、既に、技巧は完成の域に達していたが、本日の演奏では、音色とビブラートに、大きな進歩が見られた。
おそらく、かなり良い楽器を使うようになっているのだろうが、その性能をフルに発揮して、且つ、自分の音色を鳴らせている。
独奏にホールが共鳴していて、聴いていて心地良い。

「第九」については、今回は、何と言っても、四人の独唱者である。

そこまでの楽章は、つい先日まで、別の指揮者で「第九」の地方公演をしていたためか、昨年の演奏に比べ、今ひとつ、指揮者の表現になり切っていない感じもあったのだが、独唱者たちが歌い始めると、そんなことはどうでも良くなった。

個々の歌唱も良いのだが、なかなか合わない重唱のアンサンブルがぴったり合っていて、演奏効果が何倍にもなっていた。

そして、終幕の合唱になると、テンポをゆったりと落とし、管弦楽による終結部の高速テンポとの対比を明確化した演出も見事に決まった。

「第九と四季」2016
2016年12月28日(水)18:30  サントリーホール
指揮&チェンバロ 秋山和慶
ソプラノ     大村博美
メゾ・ソプラノ  清水華澄
テノール     ロバート・ディーン・スミス
バス        妻屋秀和
東京交響楽団 東響コーラス
ヴィヴァルディ  協奏曲集「四季」~春・冬(独奏 青木尚佳)
ベートーヴェン  交響曲 第9番 「合唱付」

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